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脱原発社会をめざして

原発学習会

12月19日、「C−ラボ」 (市民が食品中の放射能濃度を知るために、動きの遅い政府や自治体に任せておけず、自らが測定ボランテイアとして測定を担い、名古屋市西区に開設した市民放射能測定センター)の技術顧問の大沼章子さんを講師に招き「名水労原発学習会」を開催しました。

低線量被ばくの影響は5年から10年後

政府・マスコミの言葉の操作

講師は、Cラボ技術顧問の大沼章子さん

福島原発事故から9ヶ月が経ちましたが、今もこれからも予断を許さない状況下にあります。

すでに放出されてしまった放射能、現在も放出している放射能、これからも放出し続ける放射能に向き合っていく覚悟が私たちには必要です。

今まで原子炉は、五重の壁に守られているから大丈夫と言われていました。しかし、メルトダウン・メルトスルーまで至ってしまいました。

政府は12月16日、「冷温停止状態に達した」として事故の収束宣言を出しましたが、本来の「冷温停止」とは「正常に密封された圧力容器内の冷却材(水)が100度未満になること」なのであって、政府が言う「原子炉周辺が100度以下で、放射能の放出が抑えられている(=放射能は出ている状態)」ではないのです。

また、「放射線の健康への影響が確認できるのは年間100 mSv以上で、100 mSv以下は健康への影響が確認できないので影響はない」と言われており、これが根拠になって「直ちに影響はない」という政府見解にすり替わっています。

運動で文部科学省動かす

今年5月に文科省が福島の学校の校舎・校庭の利用判断基準を年間20mSvとしましたが、福島の母親たち500人が文部省に駆け付けて訴えたところ、20 mSvは即時撤回され、年間1 mSv以下を目指そうということになりました。市民の訴えが文科省を動かしたのです。

政府は情報開示を

学習会の風景

スリーマイル事故後に開発されたスピーディー(Speedi)という240億円くらいつぎ込まれた「緊急時迅速放射能影響予測システム」がありますが、福島原発事故では、当初、「放出された放射能量が計測できないのでデータが入力できないとして使用されませんでした。

しかし、予測値で入力すれば、少なくとも放射能がどの方向にどれくらいの濃淡で行くかは国民に提示できたはずです。結果、避難する国民に危険な場所、安全な場所の正しい情報提供がされず、より危険な地域に避難してしまったということも起きています。実際には、予測値によるシミュレーションの結果を政府とIAEA(国際原子力機関)には報告していたという事ですが、国民には4月半ば過ぎまで知らされなかったのは、とても悔しいことでした。

食品への影響

◆海水にはナトリウムやカリウムが含まれているので、海水魚の方が淡水魚よりも放射性物質を取り込みにくく、放射性セシウムの濃度が低い傾向にあります。

◆お茶は放射性セシウムが表面吸着して葉に付いて汚染濃度が高くなります。愛知県新城市でも暫定基準値の500Bq/kgを超えないものの、360Bq/kgという高い数値が出て問題になりました。

◆汚染された稲ワラを食べた牛の牛乳は、1週間くらいで汚染値が高くなります。しかし、再びきれいな飼料を与えると汚染値が落ちて体は浄化されます。

◆母親が取り込んだ放射性ヨウ素は、6時間で母乳に到達してしまいます。

◆調理法で放射性物質を減らす

  ◎野菜→良く洗って皮をむく、塩水で茹でる

  ◎肉→酢水に2日間漬ける

  ◎淡水魚→塩水で煮る

自主基準

自主基準値

政府が決めた基準は、国民の健康を考えたものではなく、依然として原発推進の立場に立った被ばく評価のもとに決められた、あまりにもひどい基準です。

C−ラボの自主基準も含めた基準値一覧を参考にしてください。

個別の食生活や食品の摂取量も考慮しながら、大人の内部被ばく量は年間0.35 mSv、幼児は大人の1/4に抑えています。

 なお、この学習会直後の12月22日に、厚労省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会が新基準(案)を、飲料水 10 Bq/kg、乳児用食品 50Bq/kg、牛乳 50Bq/kg、一般食品 100Bq/kgと提示(食品全体の介入線量は年間1 mSv)。

低線量被ばくの影響は5年から10年後

甲状腺がんの発生率

低線量の放射能の影響は科学的には未知です。

チェルノブイリにおける放射能汚染地域を見ると、核心部は避難ゾーン、5mSv/年以上は移住義務ゾーン、1mSv/年以上は移住利ゾーン、0.5mSv/年以上は放射能管理強化ゾーンとなっています。ロシアですら5mSv、1mSvの基準で住民の移住対策をとっているのに、なぜ日本は20mSv/年なのか。

1986年のチェルノブイリ事故の5年後から甲状腺ガンが多くなったというデータが出ています。また、10年後の1995年頃には子供たちの甲状腺ガン発生率のピークが来ていて、放射能の影響はすぐには出てこないのです。

心電図で子供たちの健康把握を

汚染地域と非汚染地域を比べたデータをみても甲状腺ガンだけでなくて、通常の感染症や慢性耳炎、高血圧、脳血管系の疾患、皮膚病、不妊症など一般的な病気も統計的にあきらかに差があることが分かっています。

子供たちの体内のセシウム137量を測り10〜20Bq/kg以上の子供たちに心電図の異常が多く見られることが分かっています。すでに、福島の半数以上の小中学生の体内には放射性セシウムが検出されています。心電図ならどこの病院にもあるので、心電図で福島の子供たちの健康状態を診ていくべきだと思います。

しかし、低線量被ばくについては健康への影響を明らかにするのは非常に難しいです。ほぼ同じ被ばく条件での福島から100km圏内の発がん予測でICRP(国際放射線防護委員会)は3000人、ECRR(欧州放射線リスク委員会)によるトンデルモデルは10万人、ECRRの2010年モデルは20万人ということで予測をするモデルで全く数字が違います。どれが正しいか、私にはまだ結論が出せませんが、低線量被ばくに関してはまだまだ分かっていないと言えます。

科学的な確実性が十分でない場合であっても、科学的に見ておかしいな、危ないと思ったことは予防原則を働かせて、自分たちの暮らし方を考えていきましょう。持続的な社会形成のために、脱原発社会を選択したいと思います。

今後に向けて政府は情報開示を

@今起こっている事象を同時進行で情報提供すること。

A蓄積されている放射能に関するデータを検索しやすく分かりやすく提供すること。

B食品の放射能低減化法などを周知すること。

C全食品を検査し、小学校に1つ検査機器をおくこと。

D福島県民およびホットスポットに住む人たちの退去・避難の推進。

E年間1mSv以上のところに住んでいる人、とりわけ、子供たちや妊婦を避難させること。

F避難できない人には、汚染されていない地域の安全な食品を送ること。

廃棄物は政府と東電が責任を持って保管せよ!!

@保管場所は(できれば福島第一原発の敷地の中が望ましいが)、住民が立ち入ることができない場所に置くようにすること。

A原則は福島から出さない。(福島の方たちには申し訳ないのですが)汚染されたものは、汚染されて人が住めない地域に留めておくこと。

学習会でのQ&A

Q.ラジウム温泉とかラドン温泉とか健康にいいと言って宣伝しているが、安全性はどうなのか?【ラジウムとは、ウランがエネルギーを放出しながら崩壊していく過程でできる物質で、そのラジウムが崩壊したものをラドンという。】

A.人体への影響として、良いという証拠は文献的にはない。但し、世界的にはラドンで治療をする場所があるし、岡山大学がラドンを使った治療もやっているので、病気の人には恩恵を受ける部分があると理解している。健康の人にどうかと言われれば、分からないと言うしかない(これから、低線量被ばく問題も含めて、研究します)。注意点としては、ラドン濃度が高い所は浴室の換気を良くして、吸い込まないようにすること。(ラドンは空気中に出た瞬間に拡散する。それが密閉空間だと吸い込んでしまう。)

恵那のろうそく温泉はラドン濃度が高い温泉だが、浴室の被ばく量、働く人の被ばく量を測った事例があり、1日にマイクロ(千分の1ミリ)シーベルトオーダーの被ばく量と報告されている。

Q.放射線廃棄物を捨てるという事について

A.放射線防護の3原則があって「放射性物質に接する時間を短くする、距離を置く、遮蔽をする」、誰も近づかない場所に置けば、距離が確保できる。防護壁、例えばコンクリートなど壁で囲って遮蔽する。

福島県、汚染地帯から外へ出すことはしないほうが良い。県外へ出してしまえば、放射性物質がどこにあるか分からなくなってしまう。管理型の手立ては必ずとること。

Q.政府が出す数値とか当てにならなくて、微量の放射線でも発ガン率が上がるかもと思うと怖いが、とりわけ妊婦や子供などがもっともっと気をつけなくてはいけないことは? 食について気をつけることは?

A.日常的に汚染されたかもしれない場所では、マスクをする・うがいをする・手を洗うなど、風邪の予防等と同じ対処の仕方。調理については野菜を洗わない、皮をむかないなどのエコクッキングをやめる。リンゴも皮をむく、ニンジンも洗う。でも、一番いいのは放射線量を測ってもらう。いろんな食品について計測値が表示されればいいのだが。究極はファミりーレストランのカロリー表示みたいに表示される(来て欲しくないが)時代になると良いと思っている。

Q.スピーディーの事で、とっても悔しいと言っていたが、3月11日からせっかく避難した場所で放射能にさらされつづけた。政府が、汚染されている場所なのに情報を出さなかったばかりに、被ばくした人もいるが…

A.福島の浪江町赤宇木(あこうぎ)の積算線量は、昨日で100mSv。そのまま居続けたら、政府ですら影響がでるという100mSvを被ばくしたことになる。(福島県の推計調査では、一般人で最高14.7mSvだった。)

Q.政府が浴びてもいい数値を宣伝すること自体が、気持ち的にすっきりしない品部分がある。

A.そのとおりで放射能は浴びてはいけない、取り込んではいけない。食品で言えば汚染されてないものを選んで食べる。出来れば、西の方の食品を食べて欲しい。どうしても食べなくてはいけない状況にあるのならば、測って、値を見てこのぐらいなら食べても良いと納得して食べるということになると思う。

Q.チェルノブイリの住民の避難の基準が5 mSvが強制移住、1 mSvが選択移住と言うことだが、日本政府は福島事故では20 mSv以下のところへ除洗をして住まわせようとしていますが、こんなことをなぜやるのか。

A.疎開先など対策を立てるのが大変だからで、政府の怠慢、政治家の怠慢でしかないです。1mSvの基準で疎開させるということをやる財政的困難さもあるが、政治家、官僚の力量がない。

Q.アメリカは事故がおきた時に80 km圏内の人たちを退避させたが、今思うとこれは正しかったように思うが、どう思うか。

A.そのとおりで、スピーディーの情報もアメリカ、ヨーロッパのデータが出てきた1週間後位に出している。西欧の方が情報も速いし的確な判断をしている。

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